遺言書は自分で作る時代

 相続をめぐる紛争を避けるために遺言書は大きな役割を果たします。しかし、遺言書の作成は専門家に頼まなければならないと思い込んでいる方が多く、自分で作成することは難しいと感じ、遺言書を作成しない方が大半です。

 相続・遺言書作成・遺言書保管について令和になってから、大きな変化が生まれました。相続の増加に伴い相続をめぐる争い(争族)も増え、その争いを防ぐために、法律改正や新たな制度を創設して、遺言書を自分で簡単に作成できるようになりました。そして、せっかく作成した遺言書を紛失することがないように法務局が遺言書を預かってくれる制度ができました。

 遺言書は公正証書という時代ではなく、誰もが簡単に遺言書を作成でき、そして安心して保管できる制度となったのです。これからは自分で遺言書を作成する自筆証書遺言の時代となりました。

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  • 相続させたくない相続人がいる
  • 相続財産を寄付したい
  • おひとり様

遺言書がないと、遺産分割協議で揉めることは必至です。

あるいは自分の財産が有効活用されません。


自筆証書遺言を薦める理由

自筆証書遺言を進める理由は明快です。次の3つです

  1. 費用が掛からない
  2. いつでも書き直せる
  3. 被相続人の思いが伝わりやすい

 遺言書を公正証書にすると、まず公証人役場に支払う費用が発生します。それだけでなく、公正証書にする場合、ほとんどの方は弁護士や、信託銀行といった専門家に頼むケースが増えます。その場合、弁護士等に対する報酬も発生します。おおよそ30万円前後は必要になってくると思います(かなり相場に格差はありますので注意してください)。

 さらにプロの方に頼むと、遺言執行者も遺言書を作成してくれた方に依頼するケースが大半です。実は、この遺言執行者の報酬が遺言書作成の報酬よりも高額なのです。信託銀行だと最低100万円以上になります。そして相続財産の額によって、何%という割合で加算されます。

 遺言執行者の仕事は難しいものはありません。そして相続財産の額にかかわらずすることは同じです。プロの方たちにとっては、ここがおいしいところだと思います。

 自筆証書遺言で、家族を遺言執行者にすれば、これらの費用は不要です。

 無駄な費用を使わずに、相続人に残してあげるほうが喜ばれます。

遺言書の保管

 せっかく自筆証書遺言を作成しても、どこに保管してよいか悩む問題でした。本人が死んだあと、誰も見つけてくれなかったら意味がありません。かといって簡単に見つかると、相続人がそれを読んで破棄したり改ざんしたりする危険がありました。

 しかし、2020年7月から法務局が保管してくれることになりました。これで遺言書を紛失する恐れがなくなりました。さらに今まで、裁判所の検認手続きが必要でしたが、それも不要になりました。そして被相続人が死んだ場合、法務局から相続人に通知が行くことになりました。

 これで、公正証書とほとんど変わらない扱いになったと私は考えています。

 そして預けた遺言書のデータは、150年間保管してくれます。それで、わずか3,900円の費用しか掛かりません。

 ぜひ多くの方にこのシステムを知ってもらい、そして活用してくれることを願っています。

自筆証書遺言書を作成するうえでの注意点

遺言執行者を指定しておく

 自筆証書遺言で、遺言執行者を指定していないケースがかなりあります。遺言執行者を指定していないと、相続財産分割がスムーズにいきません。ぜひ指定しておきましょう。

 遺言執行者は別に資格はいりません。ですから、家族仲が不仲であるとか、相続が複雑であるといった事情がなければ、家族の誰かを遺言執行者にするとよいでしょう。

 弁護士や信託銀行に遺言執行を依頼すると、高額な報酬をとられます。

祭祀承継者を指定しておく

 葬儀の形式が変わり、墓じまいをする方も増えてきました。

 祭祀は相続財産ではありませんが、民法では一人指定しておくことになっています。祭祀のことで、相続人の意見が食い違うこともよくあることです。

 その場合に祭祀承継者が決まっていれば、祭祀承継者が単独で、ことを決めることができます。

 家族が揉めないように、ぜひ祭祀承継者も指定しておきましょう。


令和になっての大きな法律改正

配偶者居住権の新設

 相続財産が自宅以外に対してない場合、配偶者が自宅を相続すると、他の相続人はほとんど相続財産がないということが良くあります。他の相続人が自分の相続分を主張してきたときとき、自宅を売却しないと財産分割できないとなると、配偶者は住み慣れた自宅からでなければならなくなります。

 この悲劇を避けるために、民法では新たに、配偶者居住権を認め配偶者が家から追い出されることを防止しようとしています。

 しかし、この配偶者居住権は当然認められるものではなく、遺産分割協議または遺言書に書いていなければ認められません。

 遺産分割で揉めているケースでは、遺産分割協議で、配偶者居住権が認められることはまずないと思います。ですから、配偶者居住権は必ず遺言書に書くことが必要です。

財産目録は自筆でなくてもよい

 自筆証書遺言は、今までは全文自筆であることが必要でした。そのため、財産目録も自筆であることが要求されました。

 しかし、財産目録を自筆で作成することはかなりの労力が必要です。高齢の方にとっては、かなり高いハードルでした。

 とりわけ不動産を財産目録に書くことは、高齢者には、厳しいことです。

 今回の改正では、財産目録はパソコンで作成しても大丈夫です。

 それだけでなく、なんとコピーでもよいことになりました。預貯金の場合は通帳のコピー、不動産の場合は登記事項証明書のコピーでよいことになりました。

 財産目録が自筆でなくてもよいので、本文だけ自筆でよいことになります。これだと通常の相続であれば、A4の用紙1枚でほとんどかけると思います。

 


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